アメリカのヒッピーを中心にカウンターカルチャーが広がった1970年代、人々はさまざまな形で自由を表現していました。そんな中ヒッピーたちにハマったのが、手軽に自分らしさや自由を表現することのできるボヘミアンファッション。現在では定番のファッションジャンルとなり多くの人たちに愛されています。
Queenの名曲と同タイトルの映画「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒットにより、「ボヘミアン」という言葉を知っている人はたくさんいると思います。けれど、日常会話の中で使うことがないため、その言葉の意味を理解している人は少ないのではないでしょうか。
なんとなくイメージが湧く人も湧かない人も、この言葉がどこから来てどんな意味を持った言葉なのか気になりませんか?
今回は、ファッションを含め、本来の意味や生まれた土地など、「ボヘミアン」についてのあれこれをお送りしたいと思います。
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ボヘミアンってそもそも何?
英語で「Bohemian」と記すこの言葉は、チェコスロバキア(現在のチェコ共和国及びスロバキア共和国)のボヘミア地方に住んでいる人たちや、その土地の出身で、トレーラーハウスやテントに住んで、あちこち移動しては各地で生計を立てて暮らしている人たちを表す単語で、同じ場所に定住しないことから、放浪者という意味を持っています。
時を経て、この言葉の解釈がさまざまに変化し、いつしか世間の風習に縛られることなく自由に生活する人という意味でも使われるようになりました。
他にも、こうあるべきという社会のルールに縛られず、我が道を行く芸術家のことを指すこともあります。
ボヘミアンの歴史。本来の意味と現在の意味
ボヘミアンの歴史を振り返ると、もともとは「故地喪失者」、つまり、戦争や政治的な迫害、人種差別などによって出身地を追われ、他の国へ逃げている人たちの事を指す言葉で、彼らは自分の国に戻ることができず、そのまま亡命生活を続けることで、自分の存在意義、自分であることの証明を失ってしまうそうです。
かつてはそういう人達のことを「ボヘミアン」と呼び、差別的な意味合いも含んでいたことから、もともとはネガティブな意味の言葉としてとらえられていましたが、現在では「ボヘミアン」という言葉はポジティブな意味で使われるようになっています。
しかし、亡命という厳しい状況下に置かれた人々に対して使われていた「ボヘミアン」という言葉が、どうして現在ではポジティブなイメージの言葉に変わったのでしょうか?
そのきっかけとなったのは「ボヘミアン・アーティスト」と呼ばれる人たちの存在でした。彼らは19世紀以降のフランスで、定職に就かず伝統や規律などおかまいなしに、自由奔放にふるまって暮らしていた芸術家のグループです。
「ボヘミアン」という言葉がいつしかポジティブな意味へと変化したのは、彼らによって「ボヘミアン」=「周りに流されず自由奔放に生きる人」というイメージが付いたことによるものだったのです。
ボヘミアンファッションとは
ボヘミアンファッションは、ボヘミアンたちの居住地、または出身地とされる、ボヘミア地方の民族衣装をはじめ、移動生活をしている人たちを連想させるような要素を取り入れたファッションのことを指します。
ボヘミアンファッションは、民族的なという意味を持つフォークロア、農婦を表すぺザント、詩的なという意味のロマンティックなどの言葉で表現され、フラメンコの衣装もボヘミアンファッションの一つです。
また、フォークロアのワンピースや農婦風のブラウス、サッカー選手やミュージシャンがよく頭につけているヘアバンドなども代表的なボヘミアンファッションです。
ボヘミアンファッションブランドおすすめ3選
Spell and the Gypsy Collective(スペル アンド ジプシーコレクティブ)
SPELLは、革職人をしていた父親と、陶芸家でもあり画家でもあった母親から受け継いだ、技術と才能を持つ2人の姉妹、エリザベスと、幼い頃のニックネームがSpellだったイザベラが立ち上げた、オーストラリア発のレディースブランドです。
フェザーやターコイズ、レザーなどのアイテムを使ったり、刺繍や房飾り、レースなどが施されていたりと、手作り感溢れるヴィンテージ&ネイティブテイストのアクセサリーやウェア、雑貨などを展開しています。
SPELLはオーストラリア国内だけでなく、ファッションブロガー御用達のアメリカのセレクトショップやヨーロッパなどでも大変注目されているブランドです。
彼女たちの作るファッションの特徴は大人かわいいボヘミアン。
アクセサリーやウェアは、リゾートやバカンスのシーズンに特に人気で、今ではフェスコーデの定番と言えるほど浸透していて、世界各国のファッショニスタがSPELLの洋服を愛用し、SNSでも紹介されています。
さらにインスタグラムのSPELL公式アカウントは100万人を超えるフォロワーがいるほどの人気ぶりです。
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ZIZZLE(ジズル)
ZIZZLEは、中世がモチーフになっている、エスニックやボヘミアンテイストのハンドメイド・レディースファッションブランドです。
ネイティブなデザインをベースにしながらも、クラシカルさを取り入れるなど、流行にとらわれないオリジナルのファッションを展開しています。
「気軽に着れるボヘミアンファッション」というキャッチフレーズの通り、手軽に手に取れる価格設定なのに、丁寧に織り込まれた生地や、おしゃれな色使い、繊細な刺繍の完成度の高さで人気が高いブランドです。
オリジナリティに溢れたZIZZLEのアイテムの数々は、自由なスタイルの中にも気品と高級感があり、中世の民族や貴族のようなエレガントな雰囲気を演出してくれます。存在感のある個性的なファッションでありながら、コーディネイトしやすいのも特徴です。
チャイハネ
さまざまな国にある工房に足を運び、その土地にあるもので創られた衣料品や生活雑貨、アクセサリーなどを買い付け、販売しているチャイハネ。
個性的なデザインと、ユルめで楽チンなファッションやナチュラルテイストのアクセサリーなど、男性にも女性にもファンが多く、諸国文化を集めたにぎやかなお店には、笑顔があふれています。
チャイハネはエスニックショップの先駆けとして1978年に横浜中華街で1号店をオープン。現在では全国各地、いたるところにチャイハネの店舗が展開されています。
さらに、テレビドラマや映画、CM、雑誌など、メディアでもこれまで何度もチャイハネの商品が使われ、たくさんの芸能人たちが身につけています。
最近で言うと、2019年にTBSで放送されたドラマ「凪のお暇」で、中村倫也さん演じる、まさにボヘミアンな雰囲気満載の安良城ゴンさんが、チャイハネのネックレスやTシャツ、カーディガンなどを着用されていて、とても似合ってらっしゃいました。
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まとめ
今や日本でもボヘミアンファッションに特化したショップが全国各地にあり、ファッションジャンルとしても定番となっているボヘミアンスタイル。このファッションにナチュラルで自由な印象を感じるのは、素材や雰囲気だけでなく、ボヘミアンの精神が宿っているからなのかもしれません。
もともとネガティブな言葉であったボヘミアンという言葉が、いつしか自由を愛する人たちを表現する言葉になり、そこから派生したナチュラルなテイストのボヘミアンファッションが、現在では自由を訴えるためのアイテムではなく、ファッションそのものが愛されています。
このことは、かつてボヘミアンと呼ばれていた人たちにとっても誇らしいことだと思います。
そんなボヘミアンファッションを大人コーデでお洒落に着こなしてみませんか?
コーディネート次第でパーティーやフェス、アウトドア、デートなど様々なシーンで活用できますよ!
以上、
「ボヘミアンファッションの歴史を知って大人コーデで魅力アップ!!」
をお届けしました。